開業資金調達(融資)を中心とした飲食店開業前に行う経営相談
飲食店のコンセプトをまとめる
コンセプトを書面にまとめる
店のコンセプトは一言で言うと何か。具体的には商品(料理)・サービス・雰囲気の3要素となります。明確なコンセプトは、今後の店舗設計・商品開発・オペレーション業務を決定する重要事項です。開業プロジェクトに関わる業者、スタッフ等の関係者、何よりお客様が店の特徴を理解する重要な鍵となりますので、ぶれないようにしっかりと相談し、書面にまとめておくことをお勧めいたします。
業種・業態の決定
先ずは具体的にどんな料理を提供するか(業種の決定)を決めます。業種の次は、それをどのように提供するか、カフェ、居酒屋、ラーメン屋など業態を決めます。
飲食店にはじつに多くの業種・業態があり選択に迷うほどです。選択に正解はありませんので、それぞれの思いや条件で選択して下さい。
自社ブランドの構築
店名は店のイメージを伝える基本となるものです。印象に残る、親しみが湧くなどコンセプトから導き出されたものにしましょう。 ロゴなども、マークを通して伝わる店のコンセプトやイメージは非常に重要な役割を果たします。 飽きの来ないものにしましょう。
独立経営かフランチャイズ加盟経営かの決定
飲食店を開業するにあたり、独立経営とフランチャイズ(FC)に加盟するという2つの選択があります。上記「飲食店のコンセプトをまとめる」の作業終了後、自分が目指しているものにフランチャイズが有効なケースもありますので、事前に開業相談・経営相談を必ず行って下さい。
フランチャイズの検討
フランチャイズは、FCが本部が有する資本・営業ノウハウを加盟店が購入して活用する一種の事業契約です。開業を志す皆様にとっては加盟店となりますが、フランチャイズはメリット・デメリットを考慮したうえで決定しましょう。
フランチャイズの確認事項
・チェーン本部の概要(財務状況、訴訟件数含む)
・チェーン全体の売上原価率、利益率と店舗数の推移
・出店予定の商圏の条件と戦略
・店舗経営等の研修方法
フランチャイズの契約確認事項
・ロイヤリティの算定方法、支払条件
・加盟金、保証金の金額、その支払い方法、返還条件
・契約の解除、更新、終了の条件と手続き
・商品・原材料などの取引条件
参考:ザ・フランチャイズ アドレス:http://frn.jfa-fc.or.jp/
経済産業省と(社)日本フランチャイズチェーン協会による各チェーン本部毎の事業内容や契約内容のデータベース
事業・資金計画
事業計画書の作成
事業計画書は、あなたが独立をしてまでも達成したい夢の行動計画を具体的に表したものです。融資を受けようとする金融機関や事業の協力者への説明の際に必要となります。
また自分がやりたい事業を客観的に把握する点でも、事業計画書の作成は必要です。独立前の準備をしていく過程で随時書き直しをすることで、準備しておくことや今後の見通しがわかってきます。
売上をランチと夜に分けて、見込客数、客単価、回転率、営業日数から売上を予測し、売上に伴い発生する原価率・利益率を計算していきます。客数の目安は業種、業態、レイアウトにより異なりますが1坪に対して1〜1.5席を目安にし、詳細は、開業相談、経営相談のさいに、ご相談下さい。
売上の見込
売上想定=客単価×客席数×回転率×営業日数
商圏内世帯見込客数=商圏内世帯数×見込対象割合(%)×集客数値(%)
1日の来店想定客数=店前通行量×見込み対象割合(%)×集客数値(%)
費用の見込
不動産関連:保証金、礼金、敷金、不動産手数料、前家賃なども含む
店舗デザインと施工費用:デザイン、内外装費工事、設備工事、厨房器具、家具他
機械・備品・車両費用:調理器具、食器類、レジ、ユニフォーム、広告宣伝費、求人他
商品(材料)仕入費:業種業態による原価率にて算定
資金計画書の作成
計画書の作成方法
先ずは収支計画書と調達計画書を作成します。収支計画書は、開業後およそ3年間にわたり、売上・仕入等についてお金の出入りを表した一覧表です。調達計画表は営業にあたり、初期投資及び運転資金をどのように確保するかを表した一覧表です。
上述の売上及び費用(仕入+経費)を、各月において発生見込分を収支計画表に落としこみます。個人の生活資金も表に記載し、売上△費用(仕入+経費)生活資金の残額が余裕資金となります。
この余裕資金は、経営者が丸々利用できるわけではなく、融資する金融機関にとっては毎月の返済額の原資となります。各月コンスタントに余裕資金を算出したいところです。現実は予想を常に上回ることを踏まえ、開業相談、経営相談を行いましょう。
初期投資金額の目安
開業にあたり、店舗内のレイアウトや改装など、実際に営業がスタートする前に初期投資は避けられません。営業開始後も運転資金や万が一の余裕資金を確保しておく必要があり、お金はいくらあっても足りないと感じるでしょう。営業後の資金繰りを考えて、初期投資にいくらかけるべきか判断に悩むところです。
それでは実際に初期投資はいくらまでにすべきなのでしょうか?
飲食業は、投資した資金を回収して真の利益が還元されるのには4年から6年ぐらいの時間を要するビジネスです。従って、初期投資金額は年間売上の3分の2が目安です。(最大でも年商の同額まで)それ以上の投資は超高級レストラン志向でもない限り、すべきではありません。
例えば、30坪の店の場合、坪年間売上25万円として、月間売上750万円×12ヵ月=9000万円が年間売上であり、投資額は年間売上の3分の2の6000万円。利益率が10%なら6000万円÷900万円(9000X10%)=6.6年、利益率20%なら6000万円÷1800万円(9000X20%)=3.3年で初期投資分を回収できる。 これ以上であれば不安定になります。
自己資金準備のお勧め
調達資金に占める自己資金の割合は50%が望ましいですが、30%でも金融機関への融資申し込みは可能です。日本政策金融公庫総合研究所の2009年度「新規開業白書 特別版」によると、開業による投資資金総額に占める自己資金の割合(2008年調査)は26.6%となっており、1991年の調査以来、いずれも自己資金の割合が30%を切っています。
なお、調達資金における自己資金の割合が少ないほど廃業率が高いという資料もありますので、自己資金は多いに越したことはありません。事業を起こそうと考えている人は、1〜2年くらいの準備期間が必要です。その間を利用して、金融機関に毎月定額を預け入れ、こつこつとお金を貯金しましょう。このような実績を示すことで、金融機関から高い評価をもらえ、融資がスムーズに行きます。
金融機関からの資金借り入れ
外部借入を行う前には、親類からの融資をまず考えてください。そのうえで、日本政策金融公庫(旧 国民生活金融公庫)などの新規創業融資制度などは、無担保無保証で借入が可能ですので外部融資をご検討ください。その他信用保証協会の保証融資や市区町村の補助などを有効に利用しましょう。
実際、多くの場合、開業・改装資金の不足分は借り入れによって補われていますので、上述したとおり具体的な資金計画に基づいて借り入れを行いましょう。
なお借入については、必ずしも希望どおりの資金調達ができるとは限りません。希望に達しなかった際に備えて、設備投資において中古又はリースの活用なども想定し、開業相談、経営相談を行いましょう。