飲食店経営の数字の基本(計数管理)
飲食店経営の基本は、売上と経費そして資金繰りを把握することが必要です。
基本用語
売上高
飲食店における売上高は1.「客席数」 2.「客席回転率」 3.「客単価」 4.「営業日数」と4つの要素に分類できます。

客度数= | 客席数は出店する店舗の広さで決まります。坪当たりの座席数は、店のコンセプト・業種にもよりますが、1.5〜2席程度が一般的です。 |
客席回転率= | 1日の全体の客数を全体の客席で割ることでだされる1日の1席あたりのお客様の数 |
客単価= | お客様1人当たりの食事に支払う金額。より詳細には1品平均単価×1人当たり注文数 |
営業日数= | 店によって様々ですが、おおむね月20日−25日程度 |

売上高の公式として、売上高=客席数×客席回転率×客単価×営業日数となり、売上高を上げるにはこの4つの要素を高めることになります。
具体的には客席回転率、客単価をどう向上していくか、例えば商品メニューの差別化、雰囲気の出る店内の内装、接客サービスの徹底など客席回転率、客単価を向上することを考えて実行していくことが売り上げを上げる方法ということがわかります。
損益計算書(儲け関連の指標)
いくら売上が右肩上がりでも儲け(利益)がなければ、会社は存続できません。儲けが出ているかどうかを表したのが、損益計算書です。わかりやすく表現すれば、「いくらの売上」で「いくらの原価」で「いくらの経費」「いくらの利益」であるかを一覧にした表です。
飲食業の経営は原則として売上は現金入金、仕入は掛けで後払いというのが一般的です。一時的に現金が手元に残りやすいため飲食業は儲かっているかと錯覚し、ついつい浪費がちになります。
損益計算書を毎月作成しておけば、数字により店の長所と短所を把握でき、打つ手が明らかになります。
利益を出す経営分析
売上の分析は大事!
上記売上高の項目で紹介した売上高の公式の内、営業単価についてはメニュー別の売上分析をしましょう。
売り込みたい主カメニュー(粗利が多い)と集客メニュー(店の看板となる広告的な商品で粗利が少ない)及び売れないメニュー
を常に監視して、メニューの差替え、売れ行き好調・不調の原因追究をしてゆくべきです。このような分析も含めてABC分析と
言います。低価格のレジでも販売データーが算出可能なものもありますので、検討しましょう。
また、営業回転率については、時間帯別・曜日別の売上や営業日の天気別(晴・雨)の売上などもチェックし、弱い時間帯などにキャンペーンを行うなど対策をとりましょう。
売上総利益(粗利益[あらりえき])
売上高から売上原価(=仕入△在庫)を蓋し引いたのが粗利益です。目標とする粗利益を出すためにはどうすればよいのか、実績を少しでも目標に近づけていきましょう。
FLコスト
F=F00D(食材)、L=LABOR(人件費)を意味しまして、売上高の内、FLコストが占める割合です。
飲食業におけるFLコストは60%〜70%(業種業態によって異なります)と言われています。
例えば料亭などは客単価が高いためF(食材)比率は低くなりますが、接客サービスが高度のためL(人件費)比率が高くなります。逆に喫茶軽食などは売価が低いためF(食材)が高くL(人件費)は低くなります。
FLコストが70%以内に収まるのが飲食店の健全経営のひとつの目安となりますので、毎月しっかりとコントロールしていきましょう。
人件費
人件費は飲食業にとって売上原価と同等に重要な項目です,中小企業庁編の「中小企業の経営指標」(H19年発行)において飲食店業種別の人件費率(業界全体)では以下のとおりです。
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業態によって違いがありますが、中小飲食業の場合FLコストは標準値と言われている60%〜70%を大幅に上回っているのが現状です。人件費を考える目安として、作業量(厨房・接客)に対して時間と人を割り当てていくことが大切です。マニユアル作成などによる業務の規格化、券売機設置による人員の省略化など、いろいろと考えていく必要があります。
販売管理費
上述した売上原価、人件費とは異なり、売上が発生しなくとも毎月支出がある固定的な費用です。
例えば家賃、旅費交通費、水道光熱費、修繕費、減価償却費などに分けられます。売上高の占める割合の中で、FLコストで70%と考えると30%以内で固定費をやりくり、売上高△FLコスト△固定費の余りが利益となります。
損益分岐点
損益分岐点とは、売上高△総費用=0となる売上高のことです。つまり売上高が損益分岐点を越えると黒字になり、損益分岐点以下だと赤字となります。
経営者が目標とする損益分岐点を越えるよう、売り上げを伸ばしていくことこそが経営です。好調時又は思うように数字が伸びない時でも損益計算書による管理ができていれば、そこから読み取れる数字によって適宜手を打つべきポイントを把握することができます。